
――――作ったハリガネは、公演のあと一回一回丸めてもとに戻してるんですね?
マコ「はい戻してます。」
ケン「高いやつは戻してますね。」
マコ「一個800円するんですよ。一日3ステ4ステのときは、あげてたら大変やもんね。」
ケン「そうです。そうです。」
――――お客さんに配っているものは?
ケン「あげるやつは、もっと細いやつです。」
マコ「安いやつ・・・あはは。」
――――あげるやつは、箱買いしてるそうで?
ケン「はい、箱買いしてますね。」
マコ「一か月に段ボール二箱くらい買ってるんで。町工場から。」
――――二人の出会いは?
ケン「はい、もともとは別々に芸人をやっていたんです。僕は、パントマイムをずっとやっていまして」
マコ「私はチンドン屋でアコーディオンを弾いていたんです。4年くらい前・・・伊勢のおかげ横丁ってところで、夏祭りがあって、相部屋の楽屋で、噺家さんとかいろんな芸人が一緒だったんです。そこで、私のチンドン屋とケンちゃんのパントマイムと猿回しの師匠が同じ部屋だったんですよ。」
マコ「それで、まぁみんなはあちこち遊びに行ってて、私はその時一番若かったので、ずっと楽屋におったんですね。その時、ケンちゃんもずっと楽屋にいてて、私と猿とケンちゃんがずっと三日間くらいずっと一緒にいてて、それで仲良くなりました。」
ケン「ということで・・・ですね。」
マコ「(話す相手が)猿かケンちゃんかって」
ケン「そうですね。しゃべる人おらんからしゃべったみたいなね。」
マコ「はい。」
ケン「でもそーですね。確かにずっと一緒やね。」
マコ「で、伊勢から帰ってきて一週間くらいで結婚してな。」
ケン「そうやな。」
――――1週間で結婚したんですか?
ケン「はい。」
マコ「はい、しました。」
――――すごいですね
ケン「(僕が)おっかけまわして。」
マコ「ストーカーやな。」
――――ケンさんの方が積極的にアプローチを?
ケン「なんか気づいたら電話かけたり・・・」
マコ「はい・・・それで何か明日仕事どこー?って、大阪の東通り商店街宣伝に回りますって言ったら、ずっといてるんで、奇遇やなぁとか言うて。」
ケン「そうやな。打ち合わせがあったとか言うてね。」
――――あっウソついて?
ケン「はい、そのへんウロウロして、もうそろそろあくころかなって、電話して、あっ奇遇やねぇって感じで」
――――結婚してすぐに2人で芸を始めたんです?
マコ「いえ、初めはそういうつもりなかったです。ながしをしている時に、横山ホットブラザーズで楽器使って漫談してる人の事務所が天王寺で近所だったんです。私がアコーディオンを弾けるので、弟子にならへんかって声かけて頂いたんですよ。漫才は相方がいるから、相方を見つけてきたら、漫才教えたる言うて。それで他に三味線の人とギターの人で女三人で漫才コンビ組もうって話になってたんです。」
ケン「言うてたね。」
マコ「ある日うちに帰ったらケンちゃんが、酔っぱらって、僕とコンビ組んでください〜、僕を相方にしてください!って言いながらすごい号泣しまして・・それで慌てて師匠に電話して、今こんな事になってるんですけどって。」
――――いつから針金の芸を??
ケン「なので最初は漫才をしようとしてたんです。」
マコ「でも、いざやり始めた時、(ケンちゃん)舞台に立つと全くしゃべれなくなってしまって。パントマイムをずっとやってたから言葉が出てこないんですよ。」
ケン「もうね、ダメなんですよね。」
マコ「どれだけ稽古しても。」
ケン「汗ばっかりかいてたな。」
マコ「で、私がずっとしゃべってて、ケンちゃんはこう思うやろ、私はこうやと思うねん、ならケンちゃんはこうやって思うよなぁって、全部一人で。」
ケン「全部フリからオチまでも。」
マコ「うんうんうんしか言われへんかったな。」
ケン「うんも言われへんかった。」
マコ「そしたら師匠が、多分ものすごい緊張してるから、一番心が落ち着くものを手に持たして、それをそのお守りみたいにして出たらしゃべれるんちゃうかって言うてたので、もともと好きだった針金を持ってたらしゃべれたんです。」
――――針金がもともと好き??
ケン「細い針金がありますよね。家でいろいろなものを作ってたりしてたんです。」
マコ「そして、いろんな形ができるようになって、針金とパントマイムを組み合したらって言うので。」
ケン「できるんちゃうかなと。」
マコ「とりあえず、まず出てきて針金触って何か作りましたってなったら心が落ち着いて・・・」
ケン「まだちょっとしゃべれるようになったんです。」
マコ「しゃべれるようになったので、それから針金が入るようになったよね。」
ケン「うん。入るね。」
――――それが針金芸の始まりですね。
ケン・マコ「はい。」
――――お客さん言われたものをその場で作りますけど、それは、事前に作ったことがあるんですか?
ケン「いえ、頭の中で絵が浮かんだら、だいたい形に作れます。」
マコ「はい、形を知ってるもんだったら、わりとね、なんでも。」
ケン「はい。逆にほんまに知らないもん言われたら、全くわからなくなります。」
マコ「その、針金でしかものを考えられないので、いい形とかも。鉛筆で絵を描いてから作るんではなくて、針金で作ってから描きおこしてます。」
ケン「下書きは針金の方がやっぱり早いです。」
――――もぉ針金にとりつかれてますね。
ケン「そーですね。とりつかれてる感じですね、針金に。」
インタビュー・記事 金井夏生
写真 池田尚志