桂文珍 国立劇場10日連続独演会

演目解説

毎週、「国立劇場10日連続独演会」の演目をご紹介していきます。

4月6日(火)の演目(2009.01.11公開)

蔵丁稚

上方での歌舞伎『忠臣蔵』の演出が落語に使われているため、江戸落語の『四段目』とは演出に違いがある。


主な登場人物:
定吉、旦那、女中


あらすじ:
芝居好きの定吉が仕事をさぼって芝居を見に行ったのがばれ、お仕置きとして蔵に入れられてしまう。 暗ーい蔵の中で、だんだんお腹も減ってきた定吉。お腹が減ったと叫んでも誰も来ず。

しかたが無いので、さっきまで見ていた「忠臣蔵四段目・半官切腹の場」を一人で演じて気を紛らわせようと考えた。

ちょうどそこへ女中が様子を見にきて、定吉が本当に切腹すると勘違い。慌てて旦那に報告すると、旦那も仰天して幾らなんでも、奉公人の命を奪うわけには行かないと、定吉にご飯を届けようとお鉢をそのまま引っつかんで蔵へ・・・。

「ご膳(御前)ッ」「蔵のうちで(由良之助)かァ」「ハハァ~!」「待ちかねたァ・・・」

らくだ

人物の出入りが多く酔っ払いの芝居も入るため、「真打の大ネタ」と称される。また、らくだと呼ばれる主人公が登場時に死んでいるという変わった噺。


主な登場人物:
らくだの卯之助、熊五郎、屑屋、長屋の家主


あらすじ:
とある長屋に住むのが本名を「卯之助」、あだ名を「らくだ」と言う男。そのらくだの長屋に、ある日兄貴分の「熊五郎」がやってきた。返事が無いので入ってみると、何とらくだが死んでいる。

「葬儀を出してやりたい」そう思ったが金がない。そこに屑屋がやってきた。熊五郎は屑屋を威し長屋から香典を集めて来るよう月番の所へ行かせようとする。

屑屋は、らくだが長屋から嫌われていたので、誰も香典は持って来ないだろうからと乗り気ではなかったが、熊五郎が恐いので仕方なく行かされる。

戻ってくると、今度は家主のところへ行って、酒と食べ物を用意させろと無茶を言われる。

家主のところへ行くと、らくだの死を喜びこそすれ、酒と食べ物を用意するつもりはないと断られてしまう。

そこで屑屋は熊五郎から言われたとおり、「その時は、らくだの死体を家主のところへ運んで、死人のカンカン踊りを見せる」と伝えるが、家主も負けずに「喜んで見してもらうわ」と。

ところが、本当に死人のカンカン踊りをすると、さすがの家主も言うことを聞いて酒と食べ物を用意。長屋から香典も集まる。

熊五郎は上機嫌で酒を飲み、屑屋にも酒を勧めるが・・・。

4月7日(水)の演目(2009.01.18公開)

茶屋迎い

寛永(1624~1644)の時代、大阪の船場、丹波屋さんといぅ商家のお噺。


主な登場人物:
親旦那、番頭、若旦那、手代・久七、杢兵衛


あらすじ:
旦那が出来の悪い倅(若旦那)の姿が見えないので番頭に尋ねると、若旦那は番頭に商売の勉強をしたいといい、算盤の稽古をするが飽きてしまい、請求書の束を持って集金に出かけたという。

旦那は、若旦那が集金した金で遊びに行っていると考え、番頭に問い質すと、どうやら歓楽街である新町にある、茨木屋という御茶屋の娘と仲良くなって、入り浸りになっていることを聞き出す。

そこで久七を迎えに行かす。・・・が、数日経っても戻って来ない。
今度は杢兵衛を迎えに行かす。・・・が、やはり数日経っても戻ってこない。

今度は番頭が迎えに行くが、案の定戻ってこない。

そこで遂に旦那自ら迎えに行くが・・・。

算段の平兵衛

戦後やり手がなく滅んでいた噺を、3代目桂米朝が先人から断片的に拾い聞きして集め、それを綴り合せて演じた。大阪近辺の農村でのお噺。サゲの部分には古いことわざの語呂合わせが使われているが、噺家の演出により省略される場合が多い。


主な登場人物:
平兵衛、庄屋、お花、庄屋の妻


あらすじ:
庄屋は妾だったお花が同じ村にまだいることを妻から責められる。どうしようか考えていると、算段の平兵衛が独身であることに気づき、本人の了承を得てお花を平兵衛に嫁がせる。

ところが、平兵衛は仕事もせず、お花が庄屋から受け取った手切れ金を派手に使い込んでしまい、とうとう生活に行き詰まる。

そこで平兵衛は庄屋をお花に誘惑させ、そこを押さえて金を脅し取ろうとするが、誤って庄屋を殺してしまう。

この事を隠す為、平兵衛は庄屋の妻や、隣村の人を巻き込んで、一世一代の算段を企てる。その算段とは・・・。

4月8日(木)の演目(2009.01.25公開)

風呂敷

この噺は元々、『艶笑落語(バレ噺)』であり、押し入れに入れられたのが友達ではなく間男であったが、時代を超えるごとにその要素は低下し、現在では単なる滑稽話となっている。後半の仕方噺(仕草で笑わせる噺)で、サゲに至るくだりが見所。


主な登場人物:

女房、亭主、長屋の兄貴分、新さん


あらすじ:

長屋の兄貴分の所に女が駆け込んできます。「兄さん、大変な事になっちゃったんですよぉ、血を見るんじゃないかと思って・・・」と言うことが穏やかじゃない。

わけを聞くと、亭主が「寄り合いで横浜に行って遅くなるから今日は寝てろ」と言って出掛けた日の夕方に新さんが亭主を訪ねてきた。 家で一緒にお茶を飲んでいると、遅くなると言っていた亭主が雨に降られて早くに帰ってきたという。

亭主は大変なやきもち焼きなので、つい新さんを押し入れに隠してしまった。亭主は酔っているからすぐに寝るだろうと思いきや、押入れの前で胡坐をかいて動かない。 さて、この後押し入れに入れてしまった新さんをどうすればいいのか困っていると相談に来たという。

兄貴分は女を先に帰らせて、風呂敷を持って弟分の家に行く。弟分のところに着くと、弟分は酔っぱらって押入れの間でクダを巻いている。 そこで兄貴分が風呂敷を小道具に使って・・・。

新版・七度狐

上方落語に特徴的な旅の噺。『七度狐』は『東の旅』と呼ばれるお伊勢参りの道中記の中の一編で、上方の落語家は入門するとまずこの旅の噺を習います。この噺のうち、前半の茶店の主とのやりとりは独立した噺として演じられる場合もあり、その場合は『煮売り屋』と名が変わりまた後半のお寺の怪談のところだけを演じる場合は『庵寺』となるようです。その「七度狐」を独自な工夫いっぱいで、従来誰も試みなかった本当に7回化かすスタイルを完成させたのが「新。七度狐」。


主な登場人物:

喜六、清八、煮売屋の親爺、お百姓さん、七度狐(尼僧・村の若い衆・お小夜後家)


あらすじ:

喜六と清八のコンビが伊勢参りの途中で、とある煮売屋(昔の簡易食堂)に立ち寄った。そこでイカの木の芽和えをすり鉢ごと失敬し、スタコラと煮売屋を逃げ出した。

食べ終わったすり鉢を足がつかないようにと草むらにほうったところ、それがその草むらに寝ておりました狐の頭にガツ〜ン。

「おのれぇ〜、憎いは二人の旅人。よくも稲荷のお遣いに・・・。今に見よッ!」

この狐、二つ名を『七度狐』といい、一度ひどい目に合わされたら、その相手を七度続けて化かすという執念深い狐だったことから噺が始まるのです・・・。

4月9日(金)の演目(2009.02.01公開)

住吉駕籠

上方落語の演目で、住吉大社が舞台であるから「住吉駕籠」。それを明治時代に三代目柳家小さんが東京に持ち込み、江戸落語では「蜘蛛駕籠」として演じられている。 駕籠というのには大きく分けて二種類あり、ひとつは町で帳場を構えて、お得意様で商売をしてる駕籠屋。 もう一つは街道筋で客待ちをしてる駕籠屋。こちらは雲助と呼ばれており、今回の主人公はこちら。 なぜ雲助と言われているかというと、いま東海道で担いでるかと思うと、翌日は鈴鹿峠で荷持ちをしてる。 次の日は大井川で川越人足をやってるという、風のまにまに流れる雲のようやというところから雲助。 また、街道で網を張って待ち構えてる、まるで蜘蛛のようだというところから雲助。いろんな説があるそうです。


主な登場人物:

駕篭屋A(ベテラン)、駕篭屋B(新入り)、茶店の親父、酔っ払いの客、お武家さん、堂島の相場師


あらすじ:

大坂の住吉大社の前でお客を待つ駕籠屋。

ところが、昨日ここに流れてきた前棒がおめでたい野郎で、目の前にある茶店の主人を無理やり乗せたり、酔っ払いにからまれてノロケをえんえんと繰り返されたりと散々な目に遭う。

やっと開放されたと思うと、今度は金を持っていそうな旦那が呼び止めたので、二人は一安心。

待った甲斐あって堂島まで行くお客を乗せることになった。ところが、担ぐとやけに重い。

いぶかしがった駕籠屋が駕籠の中を覗いたところ・・・・・・

地獄八景亡者戯

上方落語の演目の一つである。江戸落語では『地獄めぐり』と呼ばれる。通しで演じると1時間超である上、全編を通じて時事ネタを交えたギャグが入り、身ぶり手ぶりを交えた演出も多いなど話し手にかなりの力量を要求する大ネタである。


主な登場人物:

喜ぃさん、伊勢屋のご隠居、若旦那、一八、芸妓、舞妓、三途の川茶店の人、三途の渡し鬼の船頭、ベテラン亡者、念仏屋、閻魔庁の鬼役人、閻魔大王、医者、山伏、歯抜き師、軽業師、人呑鬼(じんどんき)


あらすじ:

サバを食べて食当たりで死んだ男が、冥土で伊勢屋のご隠居と再会するところから始まり、

三途の川下り、六道の辻、塞の河原、閻魔庁などおなじみの地獄の風景を巡ります。

最初は食あたりで死んだ男だったはずの主人公が、いつのまにか地獄行きの判決が下った4人の男に入れ替わり、あれやこれやの手で鬼を困らせるくだりまでを時事ネタを豊富に織り交ぜつつ描く。とくに閻魔庁での一芸披露大会などが見どころである。

4月10日(土)の演目(2009.02.08公開)

池田の猪買い

上方落語の演目で、北の旅噺の一つ。三部形式から成り、男と甚兵衛の頓珍漢な会話からなる第一部。 男が道を尋ねて通行人を困らせる第二部。六太夫と男との猪狩りからサゲになる第三部である。 それぞれともに笑いが多く人気のある演目となっている。


主な登場人物:

主人公の男、丼池(どぶいけ)の「甚兵衛はん」、池田の山猟師「六太夫」、女房が産気づき産婆を呼びに走る男、牛を引く池田の農夫


あらすじ:

話は、主人公の男が甚兵衛はんのところに「冷え気」の相談にやってくるという、毎度おなじみの場面から始まります。

「それなら猪(しし)の肉がええ。心安うしている池田の狩人・六大夫さんとこ行っといで、紹介状書いてやるさかい。」と、 親切に行く道まで教えてもらうが、男は物覚えが悪く行く先々で道を尋ね、皆を閉口させながら池田まで辿り着く。

男は狩人六太夫の家を訪ね「どうせなら新しい肉が欲しい。ちょっと猪撃ちに行ってんかいな。」と頼み込み、 六太夫はしぶしぶ男を連れて山に行く。丁度つがいの猪を発見し、狙いを定める六太夫に男は横から、 「オスとメスどちらがうまいか」「二頭いっぺんに、バ〜ンっと」「鍋かしてんか」「砂糖と醤油もな」「メ、メ、飯あるか?」など、 わぁわぁ言うとります。しまいには撃って倒した猪を、「これ、新しぃやろか?」と聞く始末。頭に来た六太夫は・・・。

御神酒徳利

六代目三遊亭圓生が昭和天皇の前で披露したことでも知られる大ネタ。 この噺には二つの系統あり、三代目柳家小さんが大阪から移した「占い八百屋」と呼ばれる型のもの。 もう一方の系統である六代目三遊亭圓生が演じたものには八百屋は登場せず、 年に一度の大掃除の日に、台所に転がっている御神酒徳利を見つけた店の番頭がしまう所が無いからと、 徳利を水がめの中に入れておいたのを忘れて、それを言い出せずに占いで行方を捜すという内容である


主な登場人物:

八百屋、女中、店の主人、小田原の宿屋の主人


あらすじ:

お得意の店を訪れた八百屋がいつも通りに注文を取ろうとすると、新しくやってきた女中に無下に断られる。 その対応に頭に来た八百屋は女中を困らせてやろうと、台所の棚に置いてあった御神酒徳利を水がめの中に入れて隠してしまう。

やがて家宝の御神酒徳利が無くなったと店では大騒ぎ。だが隠した本人である八百屋は得意にしているそろばん占いで徳利のある場所を探し当て、主人は大喜び。

すると主人は、実家のある三島の家で、預かりものの仏像が行方不明になっているので、易を立ててくれないかと言い出した。

八百屋は今更そろばん占いが嘘とも言えずに何とか断るも、結局は主人に押し切られてしまう。舞台は移り、三島へ向かう途中の小田原の宿。

二人の前に現れた宿屋の主人が宿泊客の荷物が無くなり困っていると言い出したので、八百屋は易を立てるようにお願いされ、またしても困ってしまう・・・。

4月11日(日)の演目(2009.02.15公開)

高津の富

場面がゴロゴロと変わりますし、内容もおもしろく、筋立てがしっかりしていますので、上演頻度は結構多いネタ。 上方発祥の演目で、3代目柳家小さんが東京に持ち込み、東京では『宿屋の富』として演じられています。


主な登場人物:

自称鳥取の豪商の主人、宿屋の亭主、高津神社に集まった人たち


あらすじ:

ひとりの客が宿屋に入ってきます。「大阪に二万両の取り引きのために来たんだが、宿代は先に払ったほうがええやろか?」と。 宿屋の主人は「お立ちの際で」というやりとりがあり、部屋にあがる。 お茶をもって来た主人に、お客が自分のことをボチボチとしゃべりだす。 この間、家に泥棒が入ったが千両箱を七十五箱しか盗まんかった。盗人も欲がないなぁ、だとか。漬物石のかわりに千両箱を乗せてるとか。 自分が金持ちやと自慢していると、亭主から富札を買って欲しいと言われ一分で買い受ける。 別に当たっても、どういうこともないので、“もし、何か当たったら、当たった賞金の半額は、亭主にあげる。”と約束をする。 が、実はこの客、一分しか持っていない。その一部で富くじを買ってしまったから正真正銘の一文無し。 金持ってるふりして、さんざ飲み食いして、逃げる予定だったのだ。 翌日、富くじの抽選結果を見ると、なんと一番富が当たっているではないか。 その結果を知った、似非金持ちと宿屋の亭主は・・・。

商社殺油地獄

古典落語を換骨脱退して仕立て直した、創作落語。商社マンたちが繰り広げる「ややこしや」の世界。


主な登場人物:

日本の商社マン、王様


あらすじ:

中東のある国に駐在している日本人商社マン達が、その国の石油の買い付けを目当てに奮闘するというストーリー。 日本が大好きな王様に何とか気に入られようと目論み、「どうせ日本語わからないだろうから」と、 適当な狂言(狂言の題目は「天才バカボン」)で王様のご機嫌を取ろうとするお話。これがまた抱腹絶倒の面白さ。

4月12日(月)の演目(2009.02.22公開)

軒付け

明治中期、大阪で流行した「軒付け」の風俗を現代に伝え、また「下手の横好き」のバカバカしさを描く上方落語ならではの爆笑名作。


主な登場人物:

浄瑠璃を習い始めた男、浄瑠璃仲間、紙屑屋のテンさん、糊屋の婆さん


あらすじ:

浄瑠璃を習い始めた男が、先日お披露目で大失敗をして、お客さんから物を投げられた。 ならば練習に軒付けする一行に参加しないと誘われる。軒付けというのは人家の門口で浄瑠璃を歌って修行すること。 浄瑠璃好きの家に当たって、招かれて鰻のお茶漬けをご馳走になったこともあると聴いて参加することにしたが、 語った途端、「じゃかましいわい!」と怒鳴られたり、黙って相手の家が聞くので「これは鰻でお茶漬けだ!」と 喜ぶと実は空き家だったり。最後に糊屋のお婆さんの部屋を借り、浄瑠璃を再開するがとても聴くに堪えない演奏。 だが、味噌で茶漬けを食べていたお婆さんがなぜか「あんたら、なかなか浄瑠璃が上手いな」と言い出して・・・。

口入屋

上方落語の多ネタ。口入屋で定吉が暴走する序盤や、女中の素性をおかみが質問する中盤。夜這いが失敗し、立ったままいびきをかく羽目になる終盤など見所・聴きどころが多い。東京でも「引越の夢」という題で演じられる。


主な登場人物:

一番番頭、二番番頭・杢兵衛、三番番頭・久七、定吉、おかみさん、新入り女中


あらすじ:

船場にあるとある大店に、口入屋(現在の職業紹介所)から絶世の美女が女中奉公にやってくる。 この店には若い者が多いため、間違いが起きぬようにと言う店の方針で、今まで来ていたのは変な顔の女中ばかり。 とうとう堪え切れなくなった一番番頭が、女中を頼みにいく役を仰せつかっている丁稚の定吉を買収し、 美女が来るように仕組んだのだ。さて、絶世の美女がやってきたおかげで店中が大興奮。特に張り切った一番番頭の手回しでその日は早仕舞になる。 その夜、みんなが寝静まったのをみはからい、二番番頭が起きだして下女部屋に忍び込もうとした・・・。 しばらくして、今度は一番番頭が起きだしてきて下女部屋に忍び込もうとした・・・。 またしばらくして、今度は手代が起きだしてきて忍び込もうとするが・・・。

4月13日(火)の演目(2009.03.01公開)

船弁慶

大きく3部に分かれる。前半部は喜六と清八の漫才のようなユーモラスなやりとりと、お松の雄弁さがききどころである。中間部は、難波橋に行く途中、喜六が語る妻のヒステリーからくる家庭内暴力のすごさが面白い。これがのちのお松の狂乱ぶりにつながっていく。後半部は難波橋の華やかな舟遊びと夫婦喧嘩で、「はめもの」が用いられ、最後には能の「船弁慶」が使われるなど視覚的にも聴覚的にも楽しめる立体的な構成で、上方落語の醍醐味を味わえる。ただし演者には体力と芸格が求められる。


主な登場人物:

喜六・清八・お松(喜六の女房)・お咲(お松さんの友だち)


あらすじ:

ある日、喜六が家でぼんやりと留守番をしていると、友人の清八が「涼みがてら大川で舟遊びをしよう」と誘いに来る。 喜六は嫁である雷のお松に怒られるのがこわいので嘘をついてでかける。 ところがお松はお咲と何も知らずに橋の上に夕涼みに来て、ダンナの喜六が船遊びをしているのを目撃してしまう。 頭にきたお松は、ものすごい勢いで川原まで駆けていくと停泊していた船に乗り、夫の遊ぶ船に突っ込んでいき、 喜六の顔を引っ掻く。喜六もぎょっとするが酒の勢いもあってお松を川の中へ突き落としてしまう。 幸い川は浅く、お松はすぐに立ち上がってきて暴れだす。 当然、こんな騒ぎが人目につかないわけが無い。いつしか橋の上には人だかりが出来ており・・・。

粗忽長屋

原話は寛政年間(1789-1800)の笑話本『絵本噺山科』にある。 その内容は、お前が死んでいるぞ、と言われた男があわてて現場に駆けつけると、むしろを被った死体がある。 慌ててめくって見て、「ああ、よかった。おれではなかった」と一安心、というものであったという。 これに様々に肉付けがほどこされ、現在の噺になった。そっくりの噺に『永代橋』がある。


主な登場人物:

八、熊公、境内の役人


あらすじ:

一つ長屋に住む八と熊。ある日、浅草観音詣でにきた八が、人だかりに出くわす。
行き倒れ(身元不明の死人)があったのだ。遺骸を見れば(八の見たところではまぎれもなく)親友の熊公。
「おい熊、起きろぉ!」と遺骸を抱き起こす八に、居合わせた人たちが「知り合いかい?」と尋ねると、 落胆しきった八いわく「ええ、今朝も長屋の井戸端で会いやした。あんなに元気だったのに・・・・・・。
こりゃ本人に引き取りに来させないと」話を聞いた群衆が「ちょっと待て、あんたそれは間違いじゃ・・・・・・」 と制止するのも聞かず、八は長屋の熊の所へすっ飛んでいく。
連れてこられた熊はその死人の顔を見て、悩んだ挙句、
「間違い無く自分である」
と確認するのだった・・・。

4月14日(水)の演目(2009.03.08公開)

星野屋

原話は元禄11年に刊行された『初音草大噺大鑑』の一遍である「恋の重荷にあまる知恵」。 ちなみに、作中に登場する水茶屋の女『桜木のお花』は実在人物であり、 河竹黙阿弥作の歌舞伎「加賀鳶」にも登場している。分類は「廓噺」。


主な登場人物:

お花(お手掛さん)、その母、星野屋の旦那、藤助


あらすじ:

ある夜、水茶屋に星野屋の旦那がやってきて、お花に20両渡して別れてくれと言う。
相場に手をだし、それが裏目に出たらしい。
「別れるくらいなら死んでしまいたい」と言ってしまったお花に、それなら一緒に死のう、心中しようと星野屋の旦那。
本当は死にたくないお花が母に相談すると、死ぬ真似したらええとアドバイス。
その日の夜、旦那と一緒に難波橋まで行きますが、旦那は先に橋からドボン。
お花はそれを見届けると、自分はそのまま去ってしまう。
同じ日の夜分遅くに藤助がお花を尋ねてきた。
寝苦しくふと目を覚ましたら、着物はグッショリと濡れ、額がザクロのように割れて血みどろの旦那が 「藤助、わしゃ、お花に騙されて、一人でこっちへ来てしもた。お花が恨めしい。呪い殺す・・・」と言ったそうな。
夢かと思ったが、旦那の立っていたところがグッショリ濡れていた。
それで何かあったんかと思って来てみたんだけど、何もないならと帰りかけた藤助を引き止めたお花。 さすがに恐ろしくなって、心中くずれの一件を白状してしまう。
どうしたら旦那が成仏してくれるのか、悩むお花に藤助は・・・。

胴乱の幸助

上方落語の演目の一つ。浄瑠璃(義太夫節)の素養がないと出来ない演目。 世間知らずの真面目な男が引き起こすとんちんかんな騒動だが、聞き手に浄瑠璃の知識があれば倍楽しめる。


主な登場人物:

胴乱の幸助、町内の若い衆、帯屋の姑と嫁、主人の長右衛門


あらすじ

二人の町内の若い衆が、割り木屋の主人のことを噂している。
「胴乱の幸助」という異名を持ち、これといった道楽はないが人の喧嘩を仲裁しては酒をご馳走するのが趣味なのだ。
そこで、ただ酒を頂こうと二人はわざと喧嘩をする。 幸助は早速仲裁に入り、近くの料理屋で馳走することに。 幸助は、だまされた事に気がつかず喧嘩を収めたので気分がよい。
と、通りかかった稽古屋から浄瑠璃『桂川連理柵』の「帯屋の段」が聞こえてくる。 それも姑の嫁いびりの件である。 声が真に迫ったので、てっきり家庭内の揉め事と勘違いした幸助は稽古屋に飛び込むが、浄瑠璃を知らないので、 本当に京都の柳の馬場押小路の帯屋の嫁いびりが、大阪にまで知られている大事件、 これは早速仲裁に行かなアカンと思い込み、京都まで出かけてしまうのだが・・・。

4月15日(木)の演目(2009.03.15公開)

老婆の休日

「老婆の休日」は、今もなお、進化しつづけている演目です。
当日の師匠の高座をお楽しみに〜!

百年目

上方落語の演目で、のちに東京に移植された。一説には東西ともに同じ原話があり偶然に作られたとも。 船場の商家を舞台にした大ネタであり、かなりの技量と体力が演じ手に求められる噺。 大旦那、番頭、丁稚、手代、幇間、芸者など多くの登場人物を描きわけ、さらに踊りの素養があらねばならない。 力の配分が難しい噺である。


主な登場人物:

番頭、大旦那、手代、丁稚、幇間、医者、芸者


あらすじ:

船場のさる大店。番頭は口やかましく奉公人を叱っている。 この番頭、奉公人にはきびしいが、なかなかのやり手で主人の信頼も厚く周りからはカタブツと思われている。 が、実は大変な遊び人で、店の者に得意先廻りに行くと嘘をついて店を出て、こっそり派手な服に着替え、 大川で屋形船を借り、芸者幇間をあげてのどんちゃん騒ぎ。船は満開の桜とそれを愛でる人々でにぎわう桜ノ宮へ。
一同船を下りると「目ン無い千鳥」という扇子で目隠しをして芸者を追い回す遊びを始める。目隠しされた番頭、 芸者だと思って捕まえた人を「そうれ。扇子取って面を拝見。ばあ。」と目隠しを取って見れば、何と大旦那。 「やあ、番頭どんかいな。」「うっへえ〜。これは大旦那はん。」と、酔いも醒め真っ青な顔で平伏する番頭。 「ああ。お連れの衆ですか。どうぞ、うちの番頭どん大事な人じゃさかい、よう遊ばしとくなされ。でも、 早よう帰らしとくなはれ。それだけたのんどきますよってにな。ご免。」と逃げるように去ってしまう。
茫然自失の番頭、みんなを置いて店に飛んで帰り「う〜ん。ああ。二階寝床敷いとくれ。頭痛うてかなわん。 しばらく寝ますわい。」と寝込んでしまう。 その晩、謝ろうか、それともいっそ逃げてしまおうかと一睡も出来ない。翌朝も針の筵に座る心地。 ようよう大旦那に呼ばれた番頭、覚悟を決めて行くと…。

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